TeXは,文章や数式を読みやすいページに組み立てるための組版システムです.原稿に書いた内容と組版の指示をもとに,行やページの配置を計算し,印刷やPDFに適した文書を作ります.特に,複雑な数式を整えて表示できることから,数学や自然科学の文書で広く使われています.CTANのTeX紹介
TeXでは何をするのか
TeXを使うときは,まず.texというテキストファイルに本文と組版の指示を書きます.そのファイルをTeXの処理プログラムに渡すことを「コンパイル」と呼びます.コンパイル後にPDFなどの出力を確認し,必要に応じて原稿を直します.
作業の流れは次のとおりです.
- 原稿ファイルに本文や数式を書く.
- TeXを処理するプログラムでコンパイルする.
- 出力されたPDFを確認し,原稿を調整する.
TeXの原稿には,本文のほかに,見出しや数式などの構造を伝える命令を書きます.たとえば,LaTeXでは\section{はじめに}と書くと,見出しとして扱われます.原稿に構造を記述しておくことで,見出し番号や目次などを文書全体に合わせて整えられます.
TeXとLaTeXの関係
「TeX」は,文書を組版する仕組みや,その中心となる処理プログラムを指します.「LaTeX」は,TeXの上で動く文書作成システムです.見出しや章,数式,図表などを扱うための命令が用意されており,著者が文書の内容や構造を記述しやすくなっています.LaTeXプロジェクトによる紹介
そのため,日常的な文書作成では,TeXの内部命令を直接使うよりも,LaTeXを使うのが一般的です.「TeXで文書を書く」という言い方が,LaTeXを使った文書作成を含むこともあります.
日本語の短い例
次の例は,LuaLaTeXとltjsarticleクラスを使って日本語の文書を作るLaTeXソースです.
\documentclass{ltjsarticle}
\begin{document}
これは最初の文書です.
数式は $a^2+b^2=c^2$ のように入力できます.
\end{document}
このファイルをLuaLaTeXでコンパイルすると,本文と数式を含む文書をPDFにできます.\documentclassは文書の種類を指定し,document環境の内側に本文を書きます.この例はLaTeXの記述方法を使っており,TeXがその組版処理を支えています.日本語文書の作成には,対応するクラスやフォントを含むTeX環境が必要です.環境の準備は,後続の記事で扱います.
TeXが役立つ場面
TeXやLaTeXは,次のような文書を作るときに役立ちます.
- 分数,行列,積分などを含む数学のレポートや答案.
- 章や節が多く,目次や参照を整えたい講義ノートや書籍.
- 図表,参考文献,数式番号を一貫した形式で管理したい論文.
数式を含まない文書にも使えます.LaTeXには章立て,相互参照,参考文献,索引などの機能があり,文書全体の構造を保ちながら組版できます.LaTeXの機能紹介
始める前に知っておきたいこと
TeXでは,原稿を書いてコンパイルし,結果を見ながら整える手順を覚えます.最初は,環境の準備やエラーメッセージに戸惑うことがあります.まず短いLaTeXの例を実際にコンパイルし,本文や数式を少しずつ変更すると,原稿と出力のつながりをつかみやすくなります.
まとめ
- TeXは,文章や数式をページ上に整えて出力するための組版システムです.
- LaTeXは,TeXを使って文書の構造を記述しやすくする文書作成システムです.
- 原稿ファイルを書き,コンパイルしてPDFなどを確認する流れで文書を作ります.
- 数式や長い文書の構造を整えたいときに,TeXとLaTeXが力を発揮します.
次の記事では,TeXとあわせて使われるLaTeXについて,もう少し詳しく説明します.
