この記事では,2025年11月16日(日)に実施された,「第36回 日本数学オリンピック 予選」の第5問の解答を紹介・解説しています.解答はすべて筆者によるものであり,「公益財団法人 数学オリンピック財団」によるものではありません.
問題については,以下のリンク(公益財団法人 数学オリンピック財団)から閲覧してください(問題の著作権は数学オリンピック財団に帰属します).
第5問は数論(N)の問題です.$xy,yz,zx$についての条件から$xyz$についての条件を導くにはどうすればよいかを考えましょう.
$xy+4,yz+5,zx+6,xyz+7$が互いに素でないということから,$2$以上の公約数$d$が存在することが分かる.
よって,ある整数$p,q,r,s$が存在して
\[ xy+4=dp\\ yz+5=dq\\ zx+6=dr\\ xyz+7=ds\]
となる.
$xy+4,yz+5,zx+6$は$xy,z$についてある意味「対称的」である.一方で,$xyz+7$は独立している.そこで,これらを結びつける方法について考えよう.
例えば,積
\[ (xy+4)(yz+5)(zx+6)\]
を考えてみよう.この式を展開すると$(xyz)^2$の項が出てくるからである.
しかし,この式を展開して計算を進めることはあまり現実的とは言えない.その原因は「$+4$」などの定数項の存在である.
そこで
\[ xy=gp-4,\quad yz=gq-5,\quad zx=gr-6,\quad xyz=gs-7\]
を利用すると,$(xyz)^2$について
\[ (gp-4)(gq-5)(gr-6)=(gs-7)^2\]
が成り立つ.これを展開するのはやはり面倒であるため,一旦定数項に注目しよう.
左辺の定数項は$-120$,右辺の定数項は$49$である.その他の項には$g$が含まれているため,$g$の倍数である.よって,定数項は$g$で割ったときの余りに注目していることに他ならない.
そこで,初めから「余り」に注目する合同式を用いて計算してみよう.以下,合同式の法を$d$とする.
\[ xy\equiv -4\\ yz\equiv -5\\ zx\equiv -6\]
であるから
\[ (xyz)^2\equiv -120\]
を得る.一方
\[ xyz\equiv -7\]
であるから
\[ (xyz)^2\equiv 49\]
を得る.よって
\[ -120\equiv 49\]
となり
\[ 169\equiv 0\]
すなわち$169$は$d$の倍数であることが分かる.ゆえに,$d$としてありうる値は$13$または$169$である.
$169=13^2$であるから,$169$が$xy+4,yz+5,zx+6,xyz+7$の公約数ならば,$13$も$xy+4,yz+5,zx+6,xyz+7$の公約数であることに注意すると,$d=13$として考えればよい.
\[ yz\equiv -5\]
の両辺を$x$倍すると
\[ xyz\equiv -5x\]
であるから
\[ 8x\equiv -5x\equiv xyz\equiv -7\equiv 6\]
が分かる.両辺を$5$倍して
\[ x\equiv 40x\equiv 30\equiv 4\]
である.$1\le x\le 17$より,$x=4,17$を得る.
同様に
\[ zx\equiv -6\]
の両辺を$y$倍すると
\[ xyz\equiv -6y\]
であるから
\[ 7y\equiv -6y\equiv xyz\equiv -7\equiv 6\]
が分かる.両辺を$2$倍して
\[ y\equiv 14y\equiv 12\]
$1\le y\le 17$より,$y=12$
さらに
\[ xy\equiv -4\]
の両辺を$z$倍すると
\[ xyz\equiv -4z\]
であるから
\[ 9z\equiv -4z\equiv xyz\equiv -7\equiv 6\]
が分かる.両辺を$3$倍して
\[ z\equiv 27z\equiv 18\equiv 5\]
$1\le z\le 17$より,$z=5$
したがって
\[ (x,y,z)=(4,12,5),(17,12,5)\]
ここまでの議論を簡潔に整理すると,次のようになる.
$xy+4,yz+5,zx+6,xyz+7$の$1$でない正の公約数を$d$とおく.以下,合同式の法を$d$とする.
\[ xy\equiv -4\\ yz\equiv -5\\ zx\equiv -6\]
であるから
\[ (xyz)^2\equiv -120\]
を得る.一方
\[ xyz\equiv -7\]
であるから
\[ (xyz)^2\equiv 49\]
を得る.よって
\[ -120\equiv 49\]
となり
\[ 169\equiv 0\]
すなわち$169$は$d$の倍数であることが分かる.ゆえに,$d$としてありうる値は$13,169$である.
$d=13$のとき
\[ 8x\equiv -5x\equiv xyz\equiv -7\equiv 6\]
であるから
\[ x\equiv 40x\equiv 30\equiv 4\]
$1\le x\le 17$より,$x=4,17$
同様に
\[ 7y\equiv -6y\equiv xyz\equiv -7\equiv 6\]
であるから
\[ y\equiv 14y\equiv 12\]
$1\le y\le 17$より,$y=12$
さらに
\[ 9z\equiv -4z\equiv xyz\equiv -7\equiv 6\]
であるから
\[ z\equiv 27z\equiv 18\equiv 5\]
$1\le z\le 17$より,$z=5$
$169=13^2$であるから,$169$が$xy+4,yz+5,zx+6,xyz+7$の公約数ならば,$13$も$xy+4,yz+5,zx+6,xyz+7$の公約数であることに注意すると
\[ (x,y,z)=\color{red}(4,12,5),(17,12,5)\]
参考文献
- 公益財団法人 日本数学オリンピック財団, https://www.imojp.org(最終閲覧日は当記事の最終更新日です).
