この記事では,2025年11月16日(日)に実施された,「第36回 日本数学オリンピック 予選」の第1問の解答を紹介・解説しています.解答はすべて筆者によるものであり,「公益財団法人 数学オリンピック財団」によるものではありません.
問題については,以下のリンク(公益財団法人 数学オリンピック財団)から閲覧してください(問題の著作権は数学オリンピック財団に帰属します).
第1問は数論(N)の問題です.正の整数の$20$乗がいかに大きい数であるかをイメージして,不等式による絞り込みができるかどうかがポイントです.
$a^{20}$はかなり大きい数になることが予想される.実際,$a\ge 2$のとき
\[ a^{20}\ge 2^{20}>2^{11}=2048>2026\]
であるから
\[ a^{20}+b^2+c^6>2026\]
となる.よって,$a=1$が必要となる.すると,与式は
\[ b^2+c^6=2025\]
と変形することができる.
次に,やはり$c^6$は大きい数になると思われるので,$c$について考える.$c\ge 4$のとき
\[ c^6\ge 4^6=2^{12}>2^{11}=2048>2025\]
であるから
\[ b^2+c^6>2025\]
となる.よって,$c$としてありうる値は$1,2,3$である.
ここまで来たら,場合分けをして考えよう.
- $c=1$のとき,与式は
\[ b^2=2024\]
と変形できる.$2024=2^3\times 11\times 23$は平方数でないから不適. - $c=2$のとき,与式は
\[ b^2=1961\]
と変形できる.$1961=37\times 53$は平方数でないから不適. - $c=3$のとき,与式は
\[ b^2=1296=36^2\]
と変形できる.よって,$b=36$である.
以上より,求める正の整数の組は$(1,36,3)$である.
ここまでの議論を簡潔に整理すると,次のようになる.
$a\ge 2$のとき
\[ a^{20}\ge 2^{20}>2^{11}=2048>2026\]
であるから,$a=1$
また,$c\ge 4$のとき
\[ c^6\ge 4^6=4096>2026\]
であるから,$c$としてありうる値は$1,2,3$
- $c=1$のとき,与式は
\[ b^2=2024\]
となり,これをみたす正の整数$b$は存在しない. - $c=2$のとき,与式は
\[ b^2=1961\]
となり,これをみたす正の整数$b$は存在しない. - $c=3$のとき,与式は
\[ c^2=1296=36^2\]
となり,これをみたす正の整数$b$は$36$である.
以上より,求める正の整数の組は
\[ \color{red}(a,b,c)=(1,36,3)\]
参考文献
- 公益財団法人 日本数学オリンピック財団, https://www.imojp.org(最終閲覧日は当記事の最終更新日です).
