この記事に誤植の可能性のある記述を見つけた場合,お問合せフォームからご連絡ください.

【速報】2025年度 大学入学共通テスト 数学Ⅱ,数学B,数学C

この記事では,2025年度 大学入学共通テストの「数学Ⅱ,数学B,数学C」をはじめとする数学②の分析記事です.問題や解答を掲載しているわけではありません.また,速報値ですので,誤った情報が掲載されている可能性があります.

この記事は,2025年1月19日に公開・随時更新していき,数学②の本試験・追試験合わせて計8科目の試験の分析を掲載します.また,2025年1月末から2月初め頃に確定版の記事として再公開します.

基本情報

  • 試験: 令和7年度 大学入学共通テスト 本試験
  • 出題教科: 数学②
  • 出題科目: 数学Ⅱ,数学B,数学C
  • 試験時間: 70分
  • 満点: 100点
  • 実施日時: 2025年1月19日(日)15:00~16:10
  • 出題内容・出題形式: 以下の通り(※難易度はMathAbyssによる主観的な情報です)
大問構成出題分野配点難易度(昨年比)備考
第1問三角関数15変化なし1
第2問指数関数・対数関数15やや難化2
第3問微分法と積分法22やや易化
第4問数列16やや易化選択問題
(3題選択)
第5問統計的な推測16やや難化
第6問ベクトル16やや難化
第7問複素数平面16(易しめ)

昨年度との大きな変更点

昨年度までは大問数が5であり,第1問,第2問は必答問題,第3問(確率分布と統計的な推測),第4問(ベクトル),第5問(ベクトル)は選択問題で,2問を選択して答える形式であった.今年度から第3問が「数列」,第4問が「統計的な推測」に関する大問に変更され,第6問の「平面上の曲線と複素数平面」が数学Cの内容として追加され,第3問,第4問,第5問,第6問が選択問題で,3問を選択して答える形式となった.

また,この内容変更に伴い,試験時間が60分から70分に変更された.

数学②の出題科目は,昨年度までは「数学Ⅱ」,「数学Ⅱ,数学B」,「簿記・会計」,「情報関係基礎」の4科目であったが,今年度から「数学Ⅱ,数学B,数学C」の1科目のみとなった.

総合分析

MathAbyssでは,全体的に「変化なし」と評価しています.計算量や分量は昨年と比べてやや減少したと思われます.ただ,大問によってばらつきがあるため注意が必要です.新課程の影響でこれまでとは異なる新傾向の問題が多く出題されました.特にその影響が大きかった第5問と第7問については,第5問は分量が増え難化し,第7問は比較的易しい典型的な問題が出題されました.また,平面上の曲線に関する問題は一切出題されませんでした.SNS上では全体的にやや易化したとの声も難化したとの声も散見されています.どの問題を選択したかによって受験生の負担が変わったかもしれません.

大問数は大学入試センターが令和4年度に公開した試作問題と同様で,第1問,第2問,第3問は必答,第4問,第5問,第6問,第7問は3問選択となりました.どの大問にも中問はありませんでした.

ページ数は29~32ページ(大問の選択によって異なる)で,昨年度の21~23ページ(大問の選択によって異なる)と比べて8~9ページ(大問の選択によって異なる)増加しました.選択形式の問題が,昨年度は25~28個(大問の選択によって異なる)であったのに対し,今年度は37~40個と大幅に増加しました.

設問別分析

第1問

三角関数に関する問題が出題されました.三角関数の方程式がテーマとなっています.昨年度は三角関数の出題がなかったため,2023年度の第1問の1と比較すると,計算量,処理量ともに「変化なし」と評価しました.また,昨年度の第1問の2との比較でも「変化なし」と評価しました.

(1)では,$0\leqq \theta <\pi$のとき,方程式
\[ \sin \left( \theta +\frac{\pi}{6}\right) =\sin 2\theta \]
を考えます.$\alpha =\theta +\dfrac{\pi}{6},\beta =2\theta$とします.

(i)は$\alpha =\beta$の場合を考え,その解に注目する問題です.

(ii)は(i)で求めた解以外について考えます.太郎さんと花子さんが登場し,単位円を用いて$\alpha \neq \beta$の場合の解を考察します.選択形式の問題1問のみでした.

(iii)では$0\leqq \theta \leqq \dfrac{\pi}{2}$と$\dfrac{\pi}{2}<\theta <\pi$で場合分けをし,$\alpha +\beta$の値を考えてすべての$\theta$を求めていきます.

(2)ではこれらを応用して$0\leqq \theta <\pi$のときの
\[ \cos \left( \theta +\frac{\pi}{6}\right) =\cos 2\theta \]
の解を,誘導なしですべて求めるという問題でした.

第2問

指数関数・対数関数に関する問題が出題されました.メダカの飼育と水草の量を題材とした問題で,常用対数表が登場しました.昨年度や2023年度のような数式だけの処理ではなく,日常的な事象が題材となっているため少し処理量が増えており,「やや難化」と評価しました.

メダカの水槽に水草を浮かべ,定期的に除去することにし,水草の量を水草が水面を覆う面積の割合で測ることにします.

(1)では水草の増え方を表で示し,指数関数的に増加するとみなして対数を計算する問題でした.

(2)では水草の除去を2週間に1回行うこととし,水草の量の上限を60%に制限するという条件を追加して考えます.14日間放置すると60%に達するような水草の量を$a$%とし,対数計算で$a$を求める問題でした.

第3問

微分法と積分法に関する問題が出題されました.典型的な微積の問題で,昨年度とほぼ同様でしたが,昨年度よりも微分のウェイトが大きく,数式で処理する問題が多かったことから,「やや易化」と評価しました.

2次関数$f(x)$と,$f(x)$を導関数とする関数$F(x),G(x)$を考えます.$F(x)$は$x=0$で極小値$0$をとり,$G(x)$は$x=k\neq 0$で極大値$0$をとることが分かっています.

(1)では,$F(x)=2x^3+3x^2$とします.$f(x)$と$G(x)$を決定し,$F(x)$の極大値と$G(x)$の極小値を求める問題でした.

(2)の(i)は$k>0$のときの$y=F(x)$のグラフの概形を選択する問題でした.$F(x),G(x)$の極値の情報から$f(0),f(k)$の値を求めるのが誘導になっています.選択形式の問題が2問ありました.

(ii)では,(i)で求めたグラフの概形から,$F(x)$を積分表示して,符号付き面積を考えることにより極大値を積分形で表し,$G(x)$の極値を考える問題が出題されました.

第4問

数列に関する問題が出題されました.格子点に関する問題で,数列の問題としては比較的定番の題材です.(1)と(2)は計算量も少なく比較的易しいですが,(3)は処理量が多かったです.全体を通して昨年度と比較したうえで,「やや易化」と評価しました.

(1)では,$y=3x$と$x$軸,$x=21$で囲まれた図形の内部にある格子点の個数を求める問題でした.等差数列の和に帰着するので,典型的な処理で解ける問題でした.ここでは選択形式の問題が2問出題されました.

(2)では,$y=2^x$と$x$軸,$x=n+1$($n$は自然数)で囲まれた図形の内部にある格子点の個数を求める問題でした.等比数列の和に帰着するので,こちらも典型的な処理で解ける問題でした.ここでも選択形式の問題が3問出題されました.

(3)では判別式が負の2次関数の放物線と$x$軸,$y$軸,$x=n+1$で囲まれた図形の内部にある格子点の個数を考える問題でした.これまでの誘導をなくせば,二次試験の問題としても出題されそうで,今年の共通テストの数学の問題の中で,個人的に一番の良問だと思います.

第5問

統計的な推測に関する問題が出題されました.レモンの重量の分布が題材となっています.昨年度と同様に正規分布表を用いる問題が出題されています.新課程の影響を受け,新傾向の問題も多く,戸惑った受験生も多かったことでしょう.一概に昨年度と比較することはできませんが,処理量,計算量ともに増加しており,「やや難化」と評価しました.

レモンの重量の平均と標準偏差が与えられ,その分布が正規分布に従うものとして考えます.

(1)では正規分布表を用いてLサイズのレモンの確率を求め,その個数の期待値を計算する問題でした.

(2)では過去のレモンの重量分布から,今年のレモンの分布の母平均を計算します.母平均に対する信頼度95%の信頼区間の幅を4g以下にするために必要な標本の大きさを誘導付きで求める問題でした.ここでは,選択形式の問題が2問ありました.

(3)では,今年のレモンの重さの母平均が過去のレモンの重さの平均より軽いかどうかを有意水準5%で仮説検定を行います.比較的丁寧な誘導がつき,選択形式の問題が4問ありました.

第6問

ベクトルに関する問題が出題されました.昨年度は平面ベクトルでしたが,今年度は空間ベクトルでした.昨年度は計算処理が多く,全体的に易しめでしたが,今年度は処理量が多く,条件を調べるのが大変なため,「やや難化」と評価しました.

単位球面上の3点$\mathrm{A}(1,0,0),\mathrm{B}(a,\sqrt{1-a^2},0),\mathrm{C}(x,y,z)$が与えられ,それによってできる三角形が正三角形となるかどうかを考えます.

(1)では,ベクトルの大きさと三角形の合同を用いて,$a,x,y$の条件式を導きます.ここでは選択形式の問題が4問ありました.

(2)では$a$に具体的な値を代入していき,(i)では$a=\dfrac{3}{5}$の場合を,(ii)では$a=-\dfrac{3}{5}$の場合を考えます.ここでも選択形式の問題が2問ありました.

(3)では$\rm A,B$が与えられたときに,$\triangle \rm ABC$が正三角形となるような単位球面上の点$C$が存在するための$a$の必要十分条件を誘導に従い求めます.ここでも選択形式の問題が2問ありました.

第7問

複素数平面に関する問題が出題されました.今年度より出題された新課程の内容であったため昨年度との難易度比較はできませんが,全体的に易しめだったと思います.

$\alpha ,\beta ,\gamma$の3つの複素数が与えられます.

(1)では複素数平面の基本的な計算が出題されました.$\alpha =3+2i,\beta =7,\gamma =7+10i$の場合を考えます.計算量も少なく,確実に取っておきたい問題です.選択形式の問題が1問ありました.

(2)は誘導が丁寧であったため,(1)と同様に典型的な計算で解ける問題でした.

(3)の(i)は$\alpha =z,\beta =2,\gamma =\dfrac{4}{z}$の場合を考えます.(2)を用いて誘導に乗れば,そこまで難しくない問題でした.選択形式の問題が2問ありました.(ii)は$\alpha =-z,\beta =-2,\gamma =-\dfrac{4}{z}$の場合を,(iii)は$\alpha =-z,\beta =2,\gamma =-\dfrac{4}{z}$の場合を考える問題でした.それぞれ選択形式の問題が1問ずつありました.

数学②のその他の出題科目

「旧簿記・会計」,「旧情報関係基礎」については掲載しておりません.あらかじめご了承ください.

旧数学Ⅱ,旧数学B

旧教育課程による出題科目については,新教育課程による出題科目と旧教育課程による出題科目を合わせた4科目のうちから1科目を選択し,解答することになっています.

大問構成出題分野配点難易度(昨年比)備考
第1問三角関数15変化なし
第2問指数関数・対数関数15やや難化
第3問微分法と積分法22やや易化
第4問図形と方程式16やや難化数学IIBCにない問題
第5問確率分布と統計的な推測16変化なし選択問題
(2題選択)
第6問数列16やや易化
第7問ベクトル16やや難化

分析

難易度は昨年とほとんど同様で「変化なし」と評価しました.第4問と第5問以外は新課程の問題と共通で,それに伴い大問構成が変化しました.第4問は三角形の傍心の軌跡を求める問題が出題されました.第5問は蛍光灯の平均寿命と単価を題材とした問題で,信頼度95%の信頼区間を求める問題が出題されました.

旧数学Ⅱ

旧教育課程による出題科目については,新教育課程による出題科目と旧教育課程による出題科目を合わせた4科目のうちから1科目を選択し,解答することになっています.

大問構成出題分野配点難易度(昨年比)備考
第1問三角関数15変化なし
第2問指数関数・対数関数15やや難化
第3問微分法と積分法22やや易化
第4問式と証明16やや易化数学IIBCにない問題
第5問図形と方程式16やや難化旧数学IIBと同じ問題
第6問複素数と方程式16変化なし数学IIBCにない問題

分析

難易度は昨年とほとんど同様で「変化なし」と評価しました.第1問,第2問,第3問は新課程の問題と共通で,第5問は「旧数学Ⅱ,旧数学B」と共通の問題でした.また,大問構成が変化しました.第4問は辺の長さを変化させたときの直方体の体積の変化を捉える問題が出題されました.第6問は4次方程式を解く問題が出題されました.誘導に乗ればそこまで難しくなく,計算量が多い問題でした.

追試験<追試験終了後更新>

数学Ⅱ,数学B,数学C

旧数学Ⅱ,旧数学B

旧数学Ⅱ

2026年度 大学入学共通テストに向けて

昨年度のデータ

数学②の本試験における基本データ

「簿記・会計」,「情報関係基礎」については掲載しておりません.あらかじめご了承ください.

教科科目受験者数平均点最高点最低点標準偏差
数学数学Ⅱ449935.4392017.42
数学Ⅱ,数学B31225557.74100020.67

数学②の本試験における受験者数・平均点の推移

「簿記・会計」,「情報関係基礎」については掲載しておりません.あらかじめご了承ください.

教科科目2021年度
第1日程
2021年度
第2日程
2022年度2023年度2024年度
数学数学Ⅱ受験者数519835496048454499
平均点39.5124.6334.4137.6535.43
数学Ⅱ,数学B受験者数3196961238321691316728312255
平均点59.9337.4043.0661.4857.74

2026年度の変更点

現在のところ,大きな変更点はありません.

今後の傾向予想と対策<後ほど更新>

  1. 2023年度第1問の1及び昨年度の第1問の2と比較 ↩︎
  2. 昨年度の第1問の1及び2023年度第1問の2と比較 ↩︎
タイトルとURLをコピーしました