整式の計算法則
まず,整式の計算法則を理解しよう.
$P,Q,R$を整式とする.次の5つの性質が成り立つことを認めることにする.
- (加法の交換法則) $P+Q=Q+P$
- (加法の結合法則) $(P+Q)+R=P+(Q+R)$
- (乗法の交換法則) $PQ=QP$
- (乗法の結合法則) $(PQ)R=P(QR)$
- (分配法則) $P(Q+R)=PQ+PR,(P+Q)R=PR+QR$
整式の整理
次に,同類項と整式を整理することの定義を理解しよう.
- 多項式の同類項→多項式の項のうち,変数(文字)部分が同じであるもの
- 整式を整理する→整式の同類項を(分配法則を利用して)まとめて1つの項にする
具体例で確認しよう.
- 多項式$x^3+2y-3y-5+x^3$の項は$x^3,2y,-3y,-5,x^3$であり,このうち同類項は$x^3$と$x^3$,$2y$と$-3y$であるから,この多項式を整理すると
\[ \begin{array}{lll}&x^3+2y-3y-5+x^3&\\ =&x^3+x^3+2y-3y-5&加法の交換法則・加法の結合法則\\ =&(1+1)x^3+(2-3)y-5&加法の結合法則・分配法則\\ =&2x^3-y-5&\end{array}\]
となる. - 多項式$-2a^3c+6ab^2-7c+5a^3-2ab^2c+3-a^3c^2$の項は$-2a^3c,6ab^2,-7c,5a^3,-2ab^2c,3,-a^3c^2$であり,$a,b$に着目すると,このうち同類項は$-2a^3c$と$5a^3$と$-a^3c^2$,$6ab^2$と$-2ab^2c$,$-7c$と$3$であるから,この多項式を整理すると
\[ \begin{array}{lll}&-2a^3c+6ab^2-7c+5a^3-2ab^2c+3-a^3c^2&\\ =&-2a^3c+5a^3-a^3c^2+6ab^2-2ab^2c-7c+3&加法の交換法則・加法の結合法則\\ =&(-2c+5-c^2)a^3+(6-2c)ab^2-7c+3&加法の結合法則・分配法則\\ =&-(c^2+2c-5)a^3-(2c-6)ab^2-7c+3&\end{array}\]
となる.
整式を整理するとき,項を並べる順序を定めておくと見やすくなる.
- 降べきの順に整理する→次数が大きい項から順に書き並べる
- 昇べきの順に整理する→次数が小さい項から順に書き並べる
- 輪環の順に整理する→円形順序に沿って項を書き並べる
具体例で確認しよう.
- 多項式$6x-x^2+3$を降べきの順に整理すると$-x^2+6x+3$となり,昇べきの順に整理すると$3+6x-x^2$となる.
- 多項式$ab+ac+bc$を輪環の順に整理すると$ab+bc+ca$となる.
整式の加法と減法
整式の加法と減法は,整式の整理と同様にして計算する.
- $P=2x+3,Q=-x+7$とすると
\[ \begin{aligned}P+Q&=(2x+3)+(-x+7)\\ &=2x+3-x+7\\ &=2x-x+3+7\\ &=(2-1)x+(3+7)\\ &=x+10\end{aligned}\]
\[ \begin{aligned}P-Q&=(2x+3)-(-x+7)\\ &=2x+3+x-7\\ &=2x+x+3-7\\ &=(2+1)x+(3-7)\\ &=3x-4\end{aligned}\] - $A=5x+3y-1,B=2x+y-7$とすると
\[ \begin{aligned}5A-3B&=5(5x+3y-1)-3(2x+y-7)\\ &=25x+15y-5-6x-3y+21\\ &=25x-6x+15y-3y+21-5\\ &=(25-6)x+(15-3)y+(21-5)\\ &=19x+12y+16\end{aligned}\]