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体の拡大

体について議論するために欠かせない,体の拡大について解説する.


拡大体・部分体・中間体

体の拡大は,次のように定義される.

定義1

$K$を体,$L,M$を$K$の部分環とする.

  • $L$が体であるとき,$L$を$K$の部分体(subfield)(または基礎体下にある体)といい,$K$を$L$の拡大体(extension field)という.また,組$(K,L)$を体の拡大(field extension)といい,$K/L$で表す.
  • $M$が$K$の部分体かつ$L\subset M$であるとき,$M$を体の拡大$K/L$の中間体(intermediate field)という.

中間体について,次の命題が成り立つ.

命題1

$K,L,M$を体とする.

$L$が$K$の部分体であり,$M$が$K/L$の中間体ならば,$L$は$M$の部分体である.

$K,L,M$の演算は一致し,$L\subset M$であることから従う.$\blacksquare$

体の拡大や中間体の例を紹介しよう.

例1

$\mathbb{R}$や$\mathbb{C}$は$\mathbb{Q}$の拡大体であり,$\mathbb{C}$は$\mathbb{R}$の拡大体である.

特に,$\mathbb{R}$は拡大$\mathbb{C}/\mathbb{Q}$の中間体である.

例2

$\mathbb{R}(x)$や$\mathbb{R}(x,y)$は$\mathbb{R}$の拡大体とみなすことができ,$\mathbb{R}(x,y)$は$\mathbb{R}(x)$の拡大体とみなすことができる.

特に,$\mathbb{R}(x)$は拡大$\mahbb{R}(x,y)/\mathbb{R}$の中間体である.

拡大次数

体$K$は$K$上のベクトル空間とみなすことができる.特に,$K$は部分体$L$上のベクトル空間とみなすことができる.

定義2

$K$を体,$L$を$K$の部分体とする.

  • $\dim _LK$を$K$の$L$上の拡大次数(または次数)(degree of field extension)といい,$[K:L]$で表す.
  • ある$n\in \mathbb{N}$が存在して,$[K:L]=n$となるとき,体の拡大$K/L$を有限次拡大(または有限拡大)(finite extension)といい,特に$n$次拡大($n$-th extension)という.
  • 有限次拡大でない体の拡大を無限次拡大(または無限拡大)(infinite extension)という.

具体的な体の拡大について,拡大次数を考えてみよう.

例3

体の拡大$\mathbb{C}/\mathbb{R}$について
\[ \mathbb{C}=\{ a\cdot 1+b\cdot \sqrt{-1}\mid a,b\in \mathbb{R}\} \]
であるから,$\mathbb{C}$を$\mathbb{R}$上のベクトル空間とみなすと,基底として$\{ 1,\sqrt{-1}\}$がとれる.よって
\[ [\mathbb{C}:\mathbb{R}]=\dim _{\mathbb{R}}\mathbb{C}=2\]
であり,$\mathbb{C}/\mathbb{R}$は$2$次拡大である.

例4

$K$を体とする.

体の拡大$K(x)/K$について
\[ K[x]=\left\{ \sum _{i=0}^na_ix^i\,\middle| \,a_i\in K,\,n\in \mathbb{N}\cup \{ 0\} \right\} \]
であるから,$K[x]$を$K$上のベクトル空間とみなすと,基底として
\[ \{ 1,x,x^2,\dots \} \]
がとれる.よって,$\dim _KK[x]=\infty$であり,$K[x]\subset K(x)$であるから
\[ [K(x):K]=\dim _KK(x)=\infty \]
であり,$K(x)/K$は無限次拡大である.

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